自分の仕事と関連することがテレビで取り上げられると、手を止めてテレビに見入ってしまうことがよくある。最近でいうと、芸能人の方が保護猫や保護犬を預かり譲渡に向けた訓練をするコーナーが大好きで、猫や犬の最初の不安げな表情が、少しづつ和らいで心を開いていく様子を微笑ましく見ている。好きな理由は他にも、動物を捕獲するための道具を取り扱っていると、よくこうした保護活動をされている団体様や個人で保護活動をされている方からお問い合わせをいただく事がある。そうした方々の実際の活動内容を知ることができる良い機会だからというのも好きな理由だ。もっともらしく言ってみたものの、ただのテレビっ子というのが本音だ。

◆毎回ではないが、時折実際に猫を保護する時の様子が放送される。この時は、もう画面にクギ付けである。「どこの会社の保護器を使っているんだろう?」「どんな場所に仕掛けているんだろう?」「どんなエサを使っているんだろう?」「猫はどんな反応をするんだろう?」等、色々な所が気になってしまう。残念ながらこうした猫の保護活動で当社の製品を使ってくださっていることは、現状ほとんど無い。大抵は、海外製のものを使っている場合が多い。こうした活動をされている方の話を聞くと、いままで使っていた保護器が最近手に入りづらくて困っているという。

◆環境省発表の資料によると、2020年度の犬・猫の引き取り数は72,433頭。返還や譲渡等で新たな飼い主が見つかったのが49,584頭。殺処分数は、23,764頭で過去最少。(内、犬4,059頭、猫19,705頭)殺処分数自体は、毎年減っていて10年前と比較すると約1/10にまで減少してきている。もう少し中身を見ると、犬、猫ともに引き取り数は毎年減少してはいるものの、返還や譲渡数は増加傾向とは言えない(犬:減少傾向、猫:ほぼ横ばい)状況から、殺処分を減らしていくには、引き取り数の方を減らすことが重要と考えられる。だからこそ、こうした保護活動の方々のTNR活動(捕獲し去勢/避妊をして元の場所に戻す活動)は非常に意義があり、保護活動されている方々や自治体の皆様には頭が下がるのみだ。

◆一方で、コロナ禍を背景としたテレワークの普及やおうち時間の増加等でペットを飼いたいという方が増加している。いわゆるペットブームと言われるやつで、犬・猫の需要は現在間違いなく増加している。それに伴う問題として、衝動的に飼ってみたものの様々な理由からやっぱり飼えず手放す方も多くいる。先に上げた引き取り数の内、約18%は飼い主からの持ち込みというのが現実だ。この数を減らすことも重要な課題といえる。

◆当社として、この保護活動に協力できる部分は、良い保護器を製造し届けること以外に無い。安定的に供給でき、万が一壊れても修理して継続的に使い続けられる。使用する人間にとって簡易で、動物にとって優しい保護器。そんなものが求められている。実際にこうした活動の最前線におられる方にもご協力いただき、今形になりつつある。まだ、完璧ではないかもしれないが、少しづつ完成形に近づけていけたらと思っている。また、今ペットを飼いたいと考えている方は、テレビに映る保護された後の怯える犬、猫の表情を見てからにしてほしい。ペットを飼うことはそれだけの責任があるということだ。テレビはオワコンだという人もいるが、まだまだ捨てたものじゃない。色々教えてくれる。だから、私は今後もずっとテレビっ子のままだ。

(こうじ)

*写真出典:NPO法人犬と猫のためのライフボート