TVでよく見かける魚釣り企画。狙った獲物を釣り上げるべく、魚群探知機搭載の釣り船で船長の秘密のポイントに向かう。そこには、〇〇釣りの達人等もいたりして、これだけのプロが集まった好条件の中でも、釣果ゼロという場面をよく見る。私も釣り船に乗って釣りをしたことがある。その時は、イレグイ状態でやっぱり投げ釣りよりも船は違うと強く思ったが、TVの向こうではイレグイ状態になる方が稀な気がする。果たして、私が体験したイレグイ状態は、とてつもないラッキーな体験だったのだろうか?

◆「動物の捕獲」と「魚釣り」は、生きている生物を捕まえるという点で同じだ。「魚釣り」には、環境でいうと海や川、湖や釣り堀。獲物は、魚と一口に言っても無数にいる。釣り方は、獲物に合わせて様々な種類があるし、エサだって魚によって異なる。その上で、更に道具も釣り方によって異なり最終的には【環境×獲物×釣り方×エサ×道具】の5つの掛け合わせとなり、これらが全て獲物にジャストフィットしていないと釣れない。つまり、漠然と釣り竿にエサを付け、海や川に釣り糸を垂らしても捕まる魚はたかが知れている。

◆では、「動物の捕獲」はどうか。環境でいうと、家屋(天井裏、軒下、庭)、畑、ハウス、山林等。獲物はネズミ~クマと幅広い。獲物によって捕獲の仕方もエサの好みも変わるし、道具も変わる。条件だけみると、魚釣りと変わりなく動物の捕獲もそう簡単なものではないのが分かる。しかし、動物を捕獲する方が簡単そうに思えてしまうのは何故か?魚釣りとの最大の違いは、獲物となる生物の姿を直接確認できるか否かではないか。魚釣りは、直接魚の姿を確認できない場合が多いため、もう少しで釣り上げられるという惜しい状況を実感しにくい。対して、動物の捕獲は、捕獲器に近付く様子や周囲のエサを食べたりといった動物の姿を直接確認することができる。例え、捕獲できなくても、なんだか捕まえられそうに思えてしまう。でも、事はそう簡単な事ではないのが現実だ。魚釣りは、見えない分仕掛けを工夫したり、エサの食いつきが悪ければエサを変えてみたりなど手を変え、品を変えて行うが、動物の捕獲はもう少しで捕まえられそうだから、逆にそこまで工夫をしようと思わない。そこが落とし穴で、同じ状況を繰り返しているだけでは捕獲率は上がらない。

捕獲器は、あくまでも道具の一つに過ぎない。道具は、それ単体では万全の物とは言えない。使う人が状況に合わせて試行錯誤すればするほど、捕獲率は飛躍的に向上する。

◆もし、捕獲器の使用を現在検討されている方がいらっしゃるようであれば、まずは先に述べた5つのポイントについて、状況を整理するのが良いだろう。その中でも獲物(捕獲したい動物)がなんなのか?これが特定できなければ何も始まらない。道具の購入は一番最後でも遅くはない。状況把握を行い、それに見合った道具を揃える。後は、捕獲できるまで根気強く、試行錯誤する。何を試行錯誤するかというと、同じ動物でも地域性などによって多少好みのエサが異なったりする。場合によっては、捕獲器の扉を全開にして中に入っても閉じない様にするなど、捕獲器に慣らす時間が必要な場合もある。捕獲とは、捕獲する側・される側のどちらから見ても真剣勝負なのだ。

だから、私は思う。テレビの中の釣り企画で釣果がゼロなのは「釣れない方がおいしい」というテレビ独特の演出なのだと。

(こうじ)